【レベルアップ】朗読する前に考えるべき3つのコト【朗読のコツ】

朗読のレベルをあげたい人
「朗読のレベルを上げたい。朗読教室への参加も検討しているが、今の実力で入っても他の生徒さんの足を引っ張ってしまうかもしれない。朗読のコツなどがあれば教えてください。」
という疑問にお答えします。

本記事の内容

1の柱【声質】
2の柱【題材】
3の柱【読み方】
おまけ「走れメロスの話」

朗読の一番難しいところは「正解が無い」と言う事です。
自分が聞くに堪えないような朗読を「世界一いいね!」と言っているお客さんが居ます。
逆に自分のお気に入りの朗読家さんを「へたくそ」と評価するお客さんも居る。

朗読はやればやるほどドツボにはまっていく・・・。なにをどうすればレベルアップできるのか分からない。

朗読に上手い下手はあまり関係ありませんが、より聞き手を物語に引き込むコツのようなものはあります。
それは「読む前の準備段階」にありまして、この3つを心がけていればただ適当に読むより格段にレベルはあがります。

今回はそんな朗読する前に考えるべき3つのコトを、僕の実体験も合わせてご紹介します


1の柱【声質】

自分の声質を知ることが、朗読をよりよくする第一歩だと僕は思います。
自分の声がハスキーなのかクリアなのか、高音か低音か。

声を知れば、おのずと、自分に合った題材が見つかるものです。

「あなたはどんな声?」と聞かれて十分に説明できる程度には、知っておいたほうがいいでしょう。
しかし、「自分の声は高くも低くも無く、どちらかというとザラついた、どこにでもある声です」
というような、マイナスな情報ではダメです。

その声をお客さんに聞いてもらうんですから、謙遜も卑下もする必要ありません。
「中性的でしたしみやすく、エッジの聴いた声色」とでも言い換えましょうか。
なんだか履歴書の自己PRみたいです。


2の柱【題材】

次に読む題材です。
題材は選び方のコツがあります。

1.自分に合う作品かどうか

男性朗読家が女性ばかり出てくる作品を読むのは挑戦的です。ある程度の地力が付くまではあえてその作品をチョイスしなくてもいいでしょう。
(しかし女性朗読家が少年ばかり出てくる作品を読むのは比較的簡単です。銀河鉄道の夜とか一房の葡萄とか。)

また、文体の読みやすさや物の考え方などが自分にとって親しみやすいか、というのも関わってきます。
わからない、共感できない文を一生懸命読んでも聞き手には伝わりづらいでしょう。

2.読む場所にあっているか

たとえば、朗読会の会場が「芥川龍之介資料館」だったとします。
特別な意図が無い限りは、芥川龍之介の作品の中から読む題材を選ぶことになるでしょう。

また、幼稚園で読み聞かせをする場合、聞き手は園児です。
読む題材は低学年向けの小説か絵本などに限られてきます。

読む場所やそこに来るお客さんの年齢層で題材のジャンルは変わるのです。

また、時間が決まっている場合もあります。30分以内でお願いします。とか、5分でなにか一つとか、時間制限があると題材がグッと絞られます。
「お気の済むまでよんで下さい!」といわれても困るんですが。

場所によってジャンル、時間、読み方もかわってきます。
読み方についてはこれからご紹介しますが、「声質」「場所」を考えるだけで題材はかなり絞られてきます。

絞られるといっても、読める題材が狭まる訳ではありません。

公民館でしゃがれ声の朗読家が官能小説を読む。下町風情のような情緒ある雰囲気でいいでしょう。
中学校であまい舌足らずな声の朗読家が昔話を読む。愛嬌があって他には無い面白さです。

声と作品のイメージのギャップは朗読に意外性と斬新さをもたらします。
しかしギャップを作るためには、やはり自分の声質と題材との相性を知っておかないといけません。
これは朗読を続ける人は一生考えていく問題だと思います。

あとはいろんな作品を読む事です。自分には関わりのなさそうな本でも読んでおくとそれだけ選択肢が広がります。


3の柱【読み方】

読み方は人それぞれです。

感情をこめずに読む
感情をたっぷり込めて読む
方言を入れて読む
標準語で読む
内緒話のような静かな声で読む
演説のようにおらびながら読む

これらは好き好きです。どうやって読むかは朗読家次第ですから、そこに正解はありません。
しかし、明確な意図は必要です。

「なんとなく大きな声で読む」ではダメです。
なぜそう読むのかの意図が作品全体で矛盾無く存在すればそれが「あなたの朗読」です。

今紹介した読み方にはそれぞれ効果があります。

感情をこめずに読む
聞き手に想像を任せる読み方。または感情が予想できないミステリアスな雰囲気を作る。

感情をたっぷり込めて読む
読み手の想像を伝える読み方。聞き手は安心して読み手の世界観に浸ることが出来る。

方言を入れて読む
聞き手のなじみある方言ならより受け入れやすい世界観になる。キャラの声分けにもなる。

標準語で読む
格式のある説得力のある雰囲気を作る。文章を正しく伝えやすい読み方。これもキャラの声分けにもなる。

内緒話のような静かな声で読む
聞き手をより朗読に集中させる。でも続けてやると聞き手が眠くなったり、聞き取れなくなったりするので注意。

演説のようにおらびながら読む
より感情的で熱意が伝わる読み方。感情が先行するので内容は聞き手にはあまり入ってこない。

この読み方を作品の場面場面で切り替えながら物語を読んでいきます。
またココに無い読み方もたくさんあるでしょう。読みながら探してみるのも良いでしょう。


以前、僕が「走れメロス」を朗読することになったとき。
困りました。走れメロスは内容をほとんどの人が知っているし、どう読めばお客さんを飽きさせずに最後まで読みきれるだろう。と悩んだんです。

僕は、とにかくいろんな人の朗読を聴いてみようと思って、youtubeやオーディブルなどで走れメロスを聴き漁りました。
そしてたどり着いたのが声優、大塚明夫さんの朗読でした。

力強く物語をドラマチックに表現していて聞きほれました。これを真似しよう。
そう思い、しばらくは大塚明夫さんの読み方を真似て練習していました。

最初は全然似ていませんでしたが、ひたすら真似ているとだんだん読み方だけでなく、声質も似てくるものです。
録音した自分の朗読を聴くと、大塚明夫さんに瓜二つ!とまでは行きませんがエッセンスはあるな!という感じになりました。
よしよしと思いながら本番に備えます。

しかし本番の一週間前、知り合いの朗読家にこの話をすると、彼はキョトンとした顔でこういいました。
「なら、その大塚さんに依頼して読んでもらえば良いじゃん」

・・・・。え?
いやいや、大御所の声優さんだし、こんな地方に呼ぶとか無理だし。

あ、でも。
・・・極論そうか。

これじゃ、僕が読む意味が無いなと、そのとき初めて思いました。

あらためて自分の朗読を聴いてみたら、所詮は物まねで、しかもクオリティは全然低いのです。
これをお客さんの前でやるつもりだったのかと思うとゾッとします。

僕はまた考えました。どういう風に読めば良いんだろう。
声真似はしない。しかし、大塚さんに聞きほれたって言う事は僕の理想の朗読であるという事。
力強く、ドラマチックな声を自分のやり方で出すには。

演説っぽくやってみよう。

感情的に大声で走れメロスを読む。そうすれば、メロスの迫真の気持ちが伝わります。
山を駆け抜けるシーンは力強く、途中で倒れ弱気になるシーンは静かに、ゆっくり。

緩急と強弱をいっそのこと、大塚さんがやっていたものより強調してやろう。と。

しかし、ここで先ほど説明した読み方を思い出します。

演説のようにおらびながら読む
より感情的で熱意が伝わる読み方。感情が先行するので内容は聞き手にはあまり入ってこない。

気持ちは伝わるけど、話の内容がいまいち伝わらないていうのは朗読では致命的なんです。
朗読は耳だけで聞きますから、読み返すという事が出来ない。
一度内容が分からず置いてけぼりにされてしまうと、最後までそのままになってしまいます。

しかし、走れメロスは有名な作品。ある程度の内容はみんな知ってる。
置いてけぼりになる事は、無い!

そして本番、汗だくになりながらメロスを読みました。あまりの迫力に若干引く人。目を丸くする人。反応は様々です。
ラスト。「勇者は赤面した」と言い終えると、少しの間をおいて、客席からたくさんの拍手を頂きました。

読み方を選ぶとはこういうことか。と理解した瞬間でした。


・・・また読みたいな。メロス。
次はもう、ミュージカルくらいの気持ちで読んでみようかな。

ながくなりましたが、この話が皆さんの朗読の糧になれば幸いです。
あと、朗読仲間や近くに朗読を始めたいという人が居ればこの3つをシェアして見てください。

では、素敵な朗読ライフを!