【一番簡単な方法】戯曲・台本の読み解きを4つの工程で考える

台本の読み解き方を知りたい人
「台本の読み解き方を知りたい。演劇をするために台本を図書館やインターネットで見つけてきたが、どうお芝居にすれば良いか分からない。台本を読み深めていくためにはどういうことをすれば良いんだろう。教えてください」

という疑問にお答えします。

本記事の内容

題材紹介
本を読み解く3つの工程
まとめ

台本自体はネットでも図書館でも探せばいくらでもありますが
それらを舞台化するためにはまず、台本を読み深めて理解する必要があります。

台本は書けるなら自分で書くのが一番です。読み深める手間がかなり省けます。
僕の劇団では僕が台本を作っています。
しかし、初めのうちは既存のしっかりした台本をやるのが良いでしょう。

なぜなら、台本は演劇の骨組みです。それに肉付けしていくのは演出や役者の仕事です。
骨組みがしっかりして無いと良いお芝居はできません。

ですから役者も作家も演出も、まずは基礎のしっかりした台本を読み解く練習からはじめましょう。


題材紹介

紙風船 岸田國士
https://www.aozora.gr.jp/cards/001154/files/52082_45850.html

人物 夫・妻
時  晴れた日曜の午後
所  庭に面した座敷

岸田國士さん作、夫と妻の会話を描いた戯曲です。
初版は1925(大正14)年5月1日発行という事なのでそのころのお話でしょう。

岸田さん自身はこの戯曲の事を「ヒットはしたけど、これが代表作として紹介されたら私ははずかしすぎて死ぬ」と語っています。
あまり気に入ってなかったようです。と言うのも、この話は一晩でさっとかいたスケッチのようなものだったそう。
それを、こんなものでも読者の息抜きになればという気持ちで発表したら、思ったより好評だったんだとか。

それを聞いてから、この本を読み深めてみましょう!といわれてもいまいちモチベーションがあがりませんよね。
しかし、本人はこう言っていますが、読者は喜んだんです。読んでみるととても面白い作品です。

今回はこれを題材にして読み解き方を解説していきます。


本を読み解く3つの工程

一番簡単な方法は、作者に聞くこと。なんですが
今回のように作者が亡くなっていたり、作者自身が「そんな一字一句意味なんか考えてねぇよ」という場合もあります。
そのような場合でも、コチラで意味を探す。話の目的を明らかにする事で本を読み解いていく事ができます。

1声に出して読んでみる。

まずは声に出して読んでみましょう。どういう話なのかを知るために。
紙風船をざっと読んでみます。

なるほど、夫と妻が喧嘩していて、話しがだんだん妄想の世界へ行ってしまう。
最後は仲直りして、紙風船が庭に落ちているという。

ちょっとファンタジー系のお話なんですね。

解釈の違いは人それぞれですが、演劇の場合は出演者たちの解釈を一つにまとめないといけません。
情報をみんなで共有する為に、まずは話を理解するために読んでみましょう。

2疑問を見つけて解決する

読んでいくと、ところどころ分からない場面が出てくると思います。
たとえば
「だんなさんはなんで新聞を音読してるの?」とか
「川上さんってだれよ?」とか
「憚りさま。ってどういう意味?」とか

そういう疑問を見つけて、解決していきます。
「妻の気をこっちに向けるため、沈黙が耐え切れなくなって新聞を読み出した」
「川上さんはだんなさんの友達で喧嘩の原因」
「おあいにくさま。って意味」
という風に。

全部いっぺんにせずとも、「ここまで読んで気になったところは?」という風に区切っても大丈夫です。
そのほうが最初はやりやすいかもしれません。
意外と疑問は多いはずです。なんでそう言ったのかを明確にしましょう。

3目的を考える

疑問を解決したら、キャラクターの目的が見えてきます。
目的とは、その人物が何のためにそれをするのか。
物語の始まり、だんなさんが新聞を読む目的は?
「妻の気をこっちに向けるため」では、目的がはっきりしません。向けさせてどうしたいのか。
「沈黙が耐え切れなくなった」これも新聞を読む動機にはなりますが、それだけなら新聞でなくても良かったはずです。
ラジオをつけるとか、歌を歌うとか。でも良かったのに、なぜ新聞を音読したのか。

「仲直りに会話の糸口がほしかった。でも喧嘩の後で話しかけづらかった」のではないでしょうか。
ならもっと簡略化してこの動作の目的は「仲直りする」ためではないでしょうか。
その目的に「喧嘩の後で話しづらい」という障害が重なった結果
「新聞を聞こえよがしに音読する」という行為に、なるんです。

分かりやすく書くつもりが分かりにくくなってしまいました。
先に少し書いてしまいましたが、目的を考えたら、次は障害を見つけます。

4障害を見つける

ほとんどの物語の醍醐味は葛藤です。
登場人物が一切葛藤しない、陳腐な葛藤しか出来ない話は面白くありません(例外はあります)

葛藤とは、目的とその障害です。
「お菓子を食べる」という目的に対する障害は「深夜だから太る」とか「お兄ちゃんのお菓子しかない」とか
その障害をどう乗り越えるかを考えると人物の心境が見えてきます。

先ほどの、新聞を読むシーンでは目的は「仲直り」障害は「話しかけづらい」です。
これを「新聞を音読する」という方法で乗り越えました。
どんな気持ちで新聞を読みますか。

完全に独り言のようにぼそぼそ言うか、それとも独り言を装って語りかけるのか。
わざとらしく「へぇー!」とか「ほぉ!」とか入れてみるとか。

解釈はさまざまですが、明確な意図は必要です。
その意図が、いま見えました。
あとはそれぞれの解釈の問題です。


まとめ

1声に出して読んでみる
2疑問を見つけて解決する
3目的を考える
4障害を見つける

この工程を繰り返していくと、物語が、だんだん立体的になっていくと思います。
まずは読んでみる。
読んでいて、ん?と思ったところの疑問を解決する。
人物の行動の目的を考える。
目的に対する障害を探す。

すると行動の意図が見えてくる。

という感じ。
ためしに、この記事でやってみてください。
僕がなぜこの記事を書いたのかという意図が見えてくるはずです。

何度も言いますが解釈は人それぞれです。僕の解釈を押し付けるつもりはありません。
しかし、適当にやる芝居と、明確な意図を持った芝居とでは完成度に雲泥の差が出ます。

もっといい演劇を作るには、必ず必要な工程だと思います。
ぜひ、試してみてください。
一人でも出来ますが、団員や知り合いとやるともっと面白いかもしれません。
そのときはこの記事をシェアしてあげてください。